レッドヴィル・トレイル100 レースレポート

レッドヴィル・トレイル100 レースレポート

*以下とほぼ同様の内容+写真付きレポートが産経デジタル「サイクリスト」にて掲載されているのでご覧ください。

結果:20位(12時間制限時間内完走者1286名)
タイム:7時間9分37秒
場所: アメリカ・コロラド州・レッドヴィル
開催日時: 2013年8月10日
コースコンディション: 晴れ
レース距離: 160キロ
大会ウェブサイト:http://www.leadvilleraceseries.com/

レッドヴィル・トレイル100は言わずと知れた北米最大のマウンテンバイクマラソンレース。参加権を得るだけでも難易度が高いことで有名だ。参加資格は抽選と指定選考レースの上位入賞の二通りとなる。抽選は10倍にもなるほどの人気ぶりだ。

北米最高標高の町“レッドヴィル”(3,094メートル)がスタート・フィニッシュ地点となり、総距離160キロ、獲得標高3400メートル、コース上最高地点は森林限界を優に超える約3700メートルというモンスターコース。

大会は今年で20周年を迎え、私にとっては7回目の挑戦となる。

年々レベルが上がり、今では世界トップのレベルのレースとなっている。今年も例外ではなく、MTBマラソン世界選手権覇者Christoph Sauser選手(Specialized)と準優勝者Alban Lakata選手(Topeak/Ergon)が優勝争いの筆頭ととなり、新コースレコードが生まれるかが注目となっている。

今年に入り、世界選手権に続き、ワールドクラスのライダー達に挑戦できるチャンスをここアメリカの地で再び得たことに興奮せずにいられない。早く今の自分の力をぶつけたい、そして試したいという欲求に駆られた。

8月10日午前6時半、スタート会場は二千数百名のライダーと無数の観客が発する熱気で溢れていた。気温は一桁前半だが、そんなこと関係ないほどに熱い雰囲気に包まれていた。

レッドヴィルの天候はその高すぎる標高から全く読めない。雪も降る可能性もあれば、日中は灼熱にもなる。前週のコース試走ではヒョウに降られたほどだ。天候も含めてレース準備を行うことが重要だ。

目の前には世界チャンピオンが並び、スタートのカウントダウンが始まる。

今回は日本からもう一人の心強いチャレンジャー、武井亨介選手もいる。アジア人の力を魅せつけたい。2人でそう誓いスタートラインに立った。かつてないほどに昂ぶる自分がいる。

ライフルの号砲と共についに160キロの挑戦が始まった。

先導車が消え、未舗装路に入るとまた一段スピードが上がり、気を抜くと一瞬で置いて行かれるような緊張感が張りつめる。

最初の登りですでに限界を超える一歩手前で追い込んでいる自分がいる。

とにかくきつい。心肺機能が悲鳴を上げ、筋肉は乳酸でいっぱいいっぱいだ。3000メートルを超える標高の影響で頭がグラグラしてハンドリングもおぼつかなくなる。

なんとかしがみ付きながら20~30番あたりで2つ目の登りを耐えながら登る。

ここで武井選手に追いつき、励まし合いながら3人のパックを形成してパワーラインの下りへ突入。

3人の息がぴったり合い、神経が研ぎ澄まされて、次から次へと前のライダーをごぼう抜きする。

ここで一気にTOP15のパックまで追いつき、平坦セクションへ。ようやく身体が暖まり始めてローテーションを回してひたすら前を追う。

©Linda Guerrette

前へ、前へ。それしか頭の中にはない。

第一エイドステーション「パイプライン」でJEFFからボトル補給を受け取る。応援の掛け声ももらい、元気が身体からわき出てくる。

積極的に前を引き、次のエイドステーション「ツインレイクス」を目指す。

 

ツインレイクスのエイドステーションは巨大で1キロ以上あり、お祭り騒ぎとなっている。ものすごい歓声を受けてさらにエネルギーをもらう。

スピードをほぼ緩めることなく、サポーターから補給を完璧に受け取った。最高のサポート体制だ。

©Linda Guerrette

ここから一気に約1時間かけて登り、標高3700メートルの折り返し地点「コロンバイン・マイン」へと向かう。

登り中盤でグループのペースがだんだんときつくなり、必死に踏みなおすが徐々に遅れ始めてしまう。

森林限界を超え、斜度もきつくなり、フラフラと耐えるだけの展開になってしまった。トップの選手が折り返してきてすれ違う。悔しい気持ちをバネにしてペダルに再び力を込める。

武井選手が折り返してきてお互いに励ましの声と士気を交わす。

ついに折り返し地点に到着。しかし、ここでまだ半分地点。レッドヴィルへの復路が本当の勝負だ。

1時間以上かけた登りも30分かからないで下る。下りの最中には2000人を超えるレーサー達とすれ違う。たくさんの励ましの声をかけ合い、お互いにエネルギーを与え合う。他のレーサー達とこんなにもコンタクトできることもこのレースの魅力だ。

ここで13位。一桁が見えるか!?と思えたあたりで前半のオーバーペースがボディーブローのように効いてきた。

120キロ以上全力で乗ってきたところで、コース最大の難所パワーラインの登りを迎える。

斜度20~30%、砂で滑る路面が続くかなり厳しい登板セクションだ。

ケイデンスは止まりそうなほど遅くなり、震えがくるほどに筋肉に限界が来ている。それでも登る。足を地面につけたらどんなに楽だろう。辛すぎる。しかし、降りたら負けだ。一生後悔する。そんな葛藤を心の中で繰り返しながらも足を動かし続けた。

パワーラインの登りで何人に抜かれただろうか。悔しすぎるが、反応するエネルギーは一切残されていなかった。

地獄の様な登りを終え、束の間の下りで少しでも体力の回復を試みるが呼吸も整わず、足の重さも消えない。

舗装路の長い登りでもまた数人に抜かれてしまう。酸欠になりながらも付いて行こうとするが、すぐに離されてしまった。心身ともに崩壊ギリギリのラインにいた。

登りのトップにある最後のフィードでサポーターから「今21番!あと一人抜かせばTOP20!抜かせー!」と喝を入れられた。

この言葉のおかげで再び気合いが注入された。ここでやらなければ絶対に後悔する。どんなに苦しくてもやるしかない。

下りでの集中力を限界まで研ぎ澄ませる。こぐところでは今までやってきたトレーニングを意識。絶対できる。自己催眠のように心の中で何度もつぶやいた。

©Linda Guerrette

最後2マイルのサインでついに前のライダーをキャッチ。相手も相当疲弊し、足が攣っているように見える。

着いてこられないように、一呼吸置いてスピードをつけて一気にパス!

そこから先は振り返らずにフィニッシュまで今持てる力を出し尽くした。

ついにフィニッシュゲートとレッドカーペットが見えた。感動のあまり、涙が出そうになるが最後まで気を抜かずに踏み続け、フィニッシュラインを通過した。

自己新記録を更新して7時間9分37秒。20位でフィニッシュ。

©Dejan Smaic

目標の一桁は叶わなかったが、成長できている自分を認識した。トップとの差も微々たるものだが少しずつ詰めている。

まだまだやれる。そして、もっと上のライダー達とレベルの高いレースをしたい。

フィニッシュした瞬間からすでに心は前を向き始めている。

来年は再び自分を超え、目標である一桁フィニッシュを必ず叶えてみせる。

トピーク・エルゴン・レーシングのチームメートAlban Lakata選手とSally Bigham選手が男女共にコースレコードを樹立して完全優勝。本当におめでとう。

中盤まで共に戦い、6位というアジア人史上最高位という快挙を成し遂げた武井選手の結果に心から祝福したい。

12時間の制限時間内レース完走者全員にフィニッシャーメダル、ベルトバックル、名前とタイムが入ったジャケットが贈呈される。9時間以内フィニッシャーには特大ベルトバックルが与えられる。このアイテムを手にするために参加しているライダーがほとんどだ。

さらに、10回完走すると名前が刻印された超特大1000マイルバックルがゲットできる。私はそれを目指し、今回で7回目。あと、3回!ようやくゴールが見えてきた!

最後に、機会を与えてくださったスポンサーの皆様、レース中完璧にサポートしてくれた清子、マナオ君、Jeff、応援してくれたすべての人たちに感謝したい。本当にありがとう。

レース機材

バイク: CANYON GRANDCANYON CF SLX 29
ドライブトレイン:SRAM XX1 (フロント30t)
フォーク: MAGURA TS8 SL 29
ブレーキ: MAGURA MT8
ステム/シートポスト/ハンドルバー: RITCHEYSuperlogic/TRAIL/WCSCarbon
ホイール: DT Swiss 1450 29 with Stan’s tubelesskit
タイヤ: Continental Race King 2.2(F)Race king 2.2(R) Protection
グリップ: Ergon GS1
グローブ: Ergon HX2
サイクルコンピューター:CycleOpsジュールGPS(サイクルコンピューター)
シューズ: North Wave Extreme
ペダル: Crank Brothers Eggbeater 11
サングラス: adidas Eyewear Evil Eye Half Rim Pro L
ヘルメット: Limar
ボトルケージ: Topeak ShuttleCage CB
チェーンオイル:Finishline Ceramic Wet Lube

補給食:パワーバージェル&VESPAプロ
リカバリー:C3fit コンプレッションソックス
テーピング:ニューハレ

パーソナルスポンサー:

チムチムレーシング
スポーツクラブ ルネサンス
パワーバー
CycleOps:パワータップ、ジュールGPS(サイクルコンピューター)
C3フィット:コンプレッション
VESPA
NEW HALE:テーピング
HALO HEADBAND:ヘッドバンド

チームスポンサー:
Ergon
Topeak
Canyon
SRAM XX1
Magura
RitcheyBicycleComponents
ContinentalTires
DT Swiss
Primal Wear
Finish Line
Northwave Shoes 
Adidas Eyewear
Jagwire
Crank Brothers
Chamois Butt’r
Stan’s No Tubes
EPIC Action Cam 
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