ランブル・イン・ザ・ジャングル4日間ステージレース総合優勝レースレポート

大会名:第二回 ランブル・イン・ザ・ジャングル 4日間ステージレース
大会ウェブサイト:http://theyakattack.com/rumbleinthejungle/
開催地:スリランカ
開催日時:2016年6月12-18日
結果:
4日間総合: 優勝
ステージ1、 優勝:74km 獲得標高2386m, TSS 216
ステージ2、 2位:65km 獲得標高2166m, TSS 187
ステージ3、 2位:67km 獲得標高2411m, TSS 216
ステージ4、 2位:74km 獲得標高1046m, TSS 145
タイム:13時間52分12秒(4日間合計)

2年越しで戻ってきたスリランカ。前回出場では4位で惜しくも表彰台を逃す結果だった。

「勝ちたい」

その思いだけをぶつけにこの地に戻ってきた。

早めに現地に入り、40度近い蒸し暑い気候に身体を慣らした。軽いインターバルで刺激を入れた身体は反応も良く、足も軽く感じる。しかし、4日間の長丁場、しかもスリランカのアドベンチャーなコース、何が起こるかわからない。実力だけじゃない運の力も身につけて初めて勝利に近づくことができる。

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© Lucia Griggi

ステージ1:

たくさんのギャラリーと声援に見送られながらパレード走行でスタート。

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先導バイクが消えると、一気にスピードが上がり、先頭集団が形成される。

ネパールの絶対王者アジェイ・パンディットチェトリ選手、オーストラリアのピーター・バット選手、日本のアルバート・キクストラ選手、そして私。

平地区間では様子見の展開が続く。

大きな川を横断するところでアタックをかけてピーターと二人で飛び出した。

一時後方が見えなくなるほど離すが、ここで二人で痛恨のコースミス。

致命的になる前に気づき、すぐに引き返す。15分ほどのタイムロスでアジェイ選手に再び追いつき、振り出しに戻る。

足が軽い。周りは辛そうな表情だ。

後半の1時間半以上続く長くきつい登りで勝負をかけようと思っていたが、ここが勝負所と判断し、再びアタックをかけて単独で飛び出した。

長い登りへ突入。この時点で気温は40度近い。照り返しも強く、斜度も20%以上、岩もゴロゴロ、ケイデンスが30を割るところもあった。地獄ようなキツさだ。

淡々と自分のペースで登り続けた。初日でタイム差を一気に離してやると心に決めていた。汗の流れる量が尋常ではない。極度の暑さと疲弊で意識が飛びそうになるところを気力で持ちこたえてとにかく追い込み続けた。

永遠に感じた登りを終え、フィニッシュへ向かう細かいアップダウンで足が攣り始める。しかし、自分にとって今日が勝負の日。決してスピードを緩めるわけにはいかない。

固まろうとする足に喝を入れながらフィニッシュラインをまたぐその瞬間まで出し切った。

初日、ステージ優勝を飾った。

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最大のライバル、アジェイから約35分を離すことに成功。しかし、今回の総合争いの敵は実は他にもいた。

今大会はカテゴリー分けがないぶん、40歳代には12%、50歳代には20%、女性には20%のタイムボーナスが引かれるのだ。このタイムボーナスのルールで順位は大きく入れ替わる。

タイム差を作ることに成功はしたが、油断は決してできない。そして、ワンデーレースのように追い込んだ身体のダメージが気がかりだ。

 

ステージ2:

スリランカを代表するリプトンの紅茶の茶畑のエリアを走破する二日目。その高低差と斜度は想像を絶するほどきつい。

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初日実力を出し切れていなかった登りが絶対的に強いアジェイがその実力を発揮する。スタートから軽やかに激坂をダンシングで登っていく。

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© Lucia Griggi

私の調子も悪くないが徐々に離されていく。イメージではタイム差の余裕を生かして後ろについていこうと思っていたがとても付いていけない。強い。

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©Sanka

チェックポイント毎にタイム差を聞くがどんどん離されていく。3分、6分、8分。

大きく垂れることもなく、悪くない走りだったが詰めることができずに2位でゴール。

ステージ3:

おそらくレース中一番のきついレイアウト。スタートから約16キロのガレた登りが延々と続く。

この日もアジェイの登板力が光る。遠い視界には入るがその姿は遠い。

そして、昨日の3位で終えているもう一人の若手ネパールライダー、ラジクマが私の後ろにべったりと付いて登る。やはりネパールライダーは登りが非常に強い。

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© Etienne Van Rensburg

この日の風が、スリランカでも近年稀に見るほどの強風だった。何度か飛ばされそうになり、バイクを降りなければいけないほどだった。

ラジクマが後ろから必死の形相で迫るおかげで「こっちもまだまだま負けられない!」という意識が強くなり、自分をさらに追い込むことができた。ライバルの存在は自分の力を最大限、いやそれ以上の道の力を引き出してくれる。ありがとう。

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© Lucia Griggi

後半のアップダウンでラジクマを引き離して見えないアジェイの姿を追うが、追い付けないまま2位でフィニッシュ。

アジェイからはなんと12分差をつけられていた。なんという強さだ。

ステージ4:

総合2位につけるアジェイとのタイム差は約10分。総合1位の座は決して譲れない。

今日は何が何でも調子が上がっているアジェイに付いていきたい。最初の8キロの坂をなんとしても離れず終えたい。

全身全霊で登り始めるが数キロでアジェイの後ろ姿が少しずつ遠のいていく。さらにラジクマに抜かれ、ピーターにも抜かれてしまう。

アジェイはその二人も引き離し、いつものように軽やかにスルスル急勾配の坂を綺麗に登っていく。ラジクマ、ピーター、私は10〜15秒間隔くらいでそのあとの追った。

前へ行きたい心とは裏腹にパワーが出ない。

それでも気力のみで頂上では前の二人とドッキングし、超ロングダウンヒルへと突入。ピーターと私はフルサスの特性を生かし、先頭交代をして超高速でアジェイを追った。

スリランカの小さな村々を通り抜ける。この雰囲気がとても好きだ。

しかし、この日の調子の良いピーターのペースについていくのが非常にきつかった。昨日はラジクマ、今日はピーターのおかげで自分一人では出せない追い込みをすることができていた。

親友でもあるピーターは私が千切れそうになると「カモン!」と励ましの激を飛ばしてくれる。その度にそこから雑巾から最後の一滴を絞り出すかのように再び追い込んだ。死ぬほど辛いのだが、彼には感謝しかない。彼の言葉がなかったらそこで緊張の糸が切れて大きく遅れていたことだろう。

最後の10キロ近くは舗装路で先頭交代で協力し合いながら展開した。

最終日フィニッシュはピーターと並んでの同着2位。

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© Lucia Griggi

この日ステージ優勝したアジェイには約2分差で負けたが、

トータルでは10分差で逃げ切った。

念願だった総合優勝を手にすることができた。

しかしながらアジェイは本当に強かった。ネパールというサイクリングにおいて決して恵まれていない国でここまで強くなっている彼にはリスペクトしかない。まだ26歳。これからどんどん世界に出て経験を積み、成長してこの強さを世界へ魅せて欲しい!ライバルながら心から楽しみで応援したい選手だ。

初日に限界の限界まで追い込んで生んだタイム差で優勝を勝ち取ることができた。作戦通りではあったが、3日間2位という結果ははっきり言ってすごく悔しいのも事実。完全優勝をしたかった。やはり勝負の世界は甘くはない。

そして、今回は高め合ったライバルの大切さにも心から感謝だ。辛い時に本気でプッシュしあえる彼らのおかげでまた一回り成長できた。

そして、レースが終われば笑って語り合える親友になる。今回もまたスリランカから広く深いMTBの世界の輪が広がっていく。

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© Lucia Griggi

これだから世界のステージレースはやめられない。

盛大に行われた表彰式ではスリランカ航空のCEOも出席し、メダルや賞金の授与を行った。こんなにも輝かしい表彰式は珍しく、この場で頂上に立てたことを心から誇りに思う。

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私の優勝賞金は$4000、ステージ優勝賞金$500、そして11月に行われるネパールヤックアタックに招待される($3995)。総額にして日本円で約100万円以上。

しかし、スリランカのMTBに対してのプロスポーツとしての尊重と認識は素晴らしいものがあった。とても未来がある視野で、選手に対しての態度や扱いもものすごい愛に溢れている対応だった。

今大会の様子はすぐにテレビや新聞でも取り上げられているのも注目したい。選手、大会、国、スポンサー、メディアの良い関係が構築されている。

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MTBのレースの楽しさだけでなく、プロスポーツとしての可能性を感じさせてくれるとても大切な経験となった。

今回の優勝は私の選手人生の中でもとても大きなタイトルとなった。

ありがとうスリランカ。

そして、私の優勝を支えてくれた全ての人たち、応援してくれた人たちに感謝。

ありがとうございました!

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Special thanks to Srilankan Airline (スリランカ航空)!

写真のギャラリーやビデオもアップしたのでぜひ下記のポストもご覧ください!

魅惑の国スリランカのハイライト:http://yuki.bikejournal.jp/?p=5902

レース機材

バイク: Canyon LUX CF 29 チームエディション

ドライブトレイン:SRAM XX1, 32T

タイヤ: Continental Race King 2.2Protection: 前後18~20PSI

グリップ: Ergon GS1

グローブ: Ergon HX2

ペダル: Crank Brothers Eggbeater 11

ヘルメット: Limar

ボトルケージ: Topeak ShuttleCage CB

チェーンオイル:Finishline CeramicWet Lube

補給食:GUパワーバージェル&VESPAプロSayako’s Kitchen

リカバリー:C3fit コンプレッションソックス

テーピング:ニューハレ

パーソナルスポンサー:

NEW HALE:テーピング

自転車コーキ屋

Peaks Coaching Group Japan

VESPA

パワーバー

THE NORTH FACE

C3フィット

なでしこ健康生活・生きている玄米

ヒロコンフーズ

VITAMIX

HALO HEADBAND:ヘッドバンド

オルタナティブバイシクルズ

民宿 藤屋(王滝村)

百草丸 日野製薬(株)

スポーツクラブ ルネサンス

チームスポンサー:

Ergon

Topeak

Canyon

SRAM XX1ContinentalTires

Primal Wear

Finish Line

Crank Brothers

Chamois Butt’r

Stan’s No Tubes